2024年8月中旬、イスラエル・ハイファにあるヘクト博物館で、男の子が展示物の壺を誤って割ってしまうということが起きました。
Boy accidentally smashes 3,500-year-old jar on museum visit https://t.co/aN6yCDin25
— BBC News (World) (@BBCWorld) August 27, 2024
この事件で館長は「壺は修復して元の場所に戻す。今回は幼い子供が誤ってやってしまった事なのでしょうがない。」と言い、なんと博物館は賠償を求めるどころか、プライベートツアーをその一家に招待したそうです。
今回は『幼い男の子が誤ってやってしまった』『館長の心が広かった』という偶然だったので、賠償は発生しませんでしたが、実際はどうなるのでしょうか?
この記事では、博物館の展示物を壊してしまったらどのような罰があるのかを紹介します。
過去の事例も紹介するので是非最後まで読んで見てください!
破損者への対応と美術館の姿勢
実際に美術品を破損させてしまった場合、損害賠償が発生するのかを紹介していきます。
過失の場合は?
一般的に、美術館や博物館は展示物を破損させた人に対して厳しい処分を行うことは稀です。
多くの場合、損害賠償を求めることもなく、破損者は無罪放免となります。
過失による破損であれば、犯人に対して寛大な措置を取ることが一般的みたいです。
故意の場合は?
故意に展示物を破壊した場合は別です。
2012年、アイルランドの美術館で、クロード・モネの絵画に穴を開けた男性は、当初は過失を装いましたが、証拠から故意であることが発覚し、最終的に懲役刑を受けました。
美術館は過失と故意の区別を厳格に行っており、故意の破壊には厳しい処罰が伴うということですね。
学生の頃に修学旅行で歴史的建造物に「落書きしたら罰金」って書いてあったのをよく覚えてます!
展示物を保護すれば良いのではないか?
博物館や美術館で展示物が破損する事故は珍しくなく、著名な作品に対する損傷が大きく報道されることがあります。
また、博物館の方でも展示物がいかに脆いかを指摘していますが、すべての展示物に対して厳重な保護を施すことは、実用的ではありません。
例えば、鑑賞者の芸術的体験が損なわれるなどの問題が発生します。
他には、展示物に高価な保護策を適用すると、経済的負担が大きくなるため、美術館や博物館にとって持続可能な運営が難しくなるという問題も発生します。
展示物破壊過去の事例
過去にあった美術品が破壊された事例を紹介します。
ピカソの絵画に大穴を開けた事件(2010年)
ニューヨークのメトロポリタン美術館で、展示中だったピカソの絵画「俳優」に、若い女性が転倒した際、手に持っていた物で絵に大穴を開けてしまう事故が発生しました。
この絵画は、破損前には10億円以上の価値があるとされていましたが、損傷は絵の端の部分に集中していたため、修復が可能でした。
修復には3か月がかかり、その後、絵画は再び展示され、女性も特に罰則がなく事なきを得ています。
この事故を受け、美術館はこの絵画をアクリルパネルで保護する措置を取りました。
ケンブリッジでの花瓶破壊事件(?年)
ケンブリッジのフィッツウィリアム美術館では、男性が靴ひもにつまずいて17世紀の花瓶を3つ壊してしまうという事故が発生しました。
これらの花瓶は非常に貴重で、世界に他に類を見ないものでした。
美術館は男性に対し、出入り禁止の処分を下しましたが、それ以上の厳しい処分は行われませんでした。
ペンシルベニアの時計博物館での破損事件(2016年)
ペンシルベニアの時計博物館で、老夫婦が展示されていた世界に一つしかないジェームズ・ゴードンのデザインによる時計を壊してしまいました。
夫婦は時計の動作を確認したくて、可動部分を引っ張り、結果的に時計を床に落としてしまったのです。
この事件でも、夫婦は厳しい処分を受けることなく、穏便に解決されました。
ポルトガルのセバスティアン大像でのセルフィー事故(2016年)
こちらの事故は博物館や美術館の展示品ではなく、駅正面に位置する建物の一部として飾られているものです。
ポルトガルで、セバスティアン大像の前でセルフィーを撮ろうとした24歳の観光客が、誤って像を倒してしまい、150年の歴史を持つ銅像が粉々になりました。
この観光客は、器物損壊の疑いで逮捕され、罰金を課されました。
これはセルフィーに夢中になって公共の迷惑を考えなかったために起きた事故であり、美術館や博物館の外での破損事故が異なる対応をされています。
アンドリュー・シャノンによるモネの絵画破壊事件(2012年)
アイルランドの美術館で、アンドリュー・シャノンという男性が、クロード・モネの絵画に故意に穴を開けた事件がありました。
当初、彼は事故だと主張していましたが、防犯カメラの映像と彼のポケットに入っていたペイントが証拠となり、意図的な行為であったことが判明しました。
この絵画は17か月間にわたる修復作業を経て再展示されましたが、シャノンは5年間の懲役刑を受けることになりました。
美術館は故意の破壊行為に対しては厳格に対応するんですね。
ルーブル美術館「モナリザ」にスープかける環境活動家
2024年1月にはルーブル博物館で、環境活動家の女性2人による「モナリザ」にスープをかける事件がありました。
絵画はガラス板で保護されており、損傷はしてませんでした。
環境活動家らが抗議行動として芸術作品を標的にする事例はここ数年、世界各地で相次いで起きています。
2022年10月にはロンドンのナショナル・ギャラリーに展示されているゴッホの「ひまわり」やオランダ・ハーグの美術館に飾られているフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」にスープや赤い液体が投げつけられる騒動が起きています。
報道はされていないが、傷が付いていた場合は当然損害賠償が発生している。
「食料問題よりも芸術の方が大事なのか!?」と訴えているらしいです。
参考記事:BBS NEWS JAPAN
最後に
たとえ過失であっても、展示物に与えたダメージは修復に長い時間を要し、完全に元に戻ることは稀です。
博物館や美術館を訪れる際には、来場者自身が自分の行動に注意を払いましょう!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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